第6章 人のものってなんだか魅力的
銀時「お前…どした?大丈夫か?」
銀さんが心配そうに私の顔をのぞきこむ。
やめて!変なタイミングで優しくしないで!
今はできるだけそっとしておいて!
なんて言えるはずもなく
『…』
私はただ黙りこくることしか出来なかった。
そんな私を知ってか知らずか、最凶最悪な鬼はどんどんこちらへと近づいて来る。
土方「オイ総悟、なかなか戻ってこねぇと思ったら…いつまで油売ってんだ帰るぞ 」
鬼。
真選組、鬼の副長こと土方十四郎は、私達と合流するやいなや総悟の腕を掴んで引きずり戻そうとする。
沖田「チッ…土方さん、今回ばかりは本気で死んでくだせェ。アンタは生きてるだけで罪なんでィ」
私の方をちらりと見た総悟が軽く舌打ちをして刀に手を当てる。
土方「あ?何だってんだいきなり。まぁいい、お前が死ぬだけで世界平和に貢献できるたァ安いもんだな」
土方さんまで目を細めてニヤリと笑った。
人が行き交う賑やかなかぶき町の空気が凍りつき、殺伐とした雰囲気に変わる。
「うわぁぁぁん!」
何処からともなく小さい子どもの泣き声が聞こえた。
ヤバイ。止めないと…
このままのうのうと隠れているわけにもいかず、銀さんの背中から出て喧嘩の仲裁に入る。
『あの…赤ちゃんも泣いてますし、やめませんか?』
土・沖「あ"?」
駄目だ。完璧に殺る気だ。
全く聞く耳を持たない2人は遂に刀を抜いた。
土・沖「死ねぇぇぇ!」
その時、体が勝手に動いた。
ガギィィィィン!
交差した二人の真剣は見事に…
土・沖「!?」
間に入った木刀でその筋道を止められていた。
『やめろって言ってんのが分かんないの?道の真ん中でお巡りさんが刀振り回してんじゃないよ』