第11章 七海の女ったらし。
ヨナsideー
「どこまで歩くのですか?」
「もう少しだよ」
私達は王宮を出て歩いています
シン様は特に何も話すことはなく
着いておいで、とだけ。
民家や商店街を抜け
小さな脇道に入っていきました
まだあまり開発されてない小道のようです
「着いた、ここだ。」
「ここ…ですか?」
「ああ、ここは思い出の場所なんだ。」
「道…ですね」
「ああ。
俺はここでヨナと出会ったんだよ」
「私はこんなところで倒れてたのですね…
なんだか恥ずかしいです…」
「恥ずかしがる事なんかなにもないさ、おかげで俺は君に出会えた。そして、こうやって君を王宮まで連れて帰ったんだ」
そういうと、シン様は私を
抱き上げた
「シシシシシシン様!」
そしてそのまま王宮の方へ歩きだす
「しっシン様!あのまだ少し明るいですしっそのっ人目もありますからっ」
「関係無いよ、あの日もそうだった」
「ですけど…」
「こうして君を抱いて帰っているとき
俺はね、すごくワクワクしたんだ
何かが始まるような…ね。
早く君の声が聞いてみたくて
早く目覚めてほしくて…」
「シン様…」
「きっとあの日から俺の心は君に動かされていたのかもしれないな
これは導かれた運命だと思ったよ」
そう話すシン様の横顔は
いつもより少し真剣で
いつもより優しい
私はまたこの方に心を持っていかれる