第5章 煌 帝 国
ジャーファルsideー
目の錯覚でしょうか。シン王よ
貴方の“宝物”が黒い悪魔に抱き締められ空から降りてきます…
ー謝肉宴の夜ー
ヨナが小さな声で何か叫びながら走って行き、マスルールに捕獲を頼み
私はシンの下へ行きました…
「はぁ…それともう一つ、シン、あの娘はこの国にとってなんの“切り札”にも“力”にもなりませんよ?
なのにヨナを傍に置いておく理由は一体なんなのですか…。」
「ああ、それがな、良くわからないんだ。」
「はぃ?」
「良くわからないんだ。」
「…はぃ。」
「今まではこの国の為に拾えるものは拾ってきた、これからもだ。
だけどな、今回ばかりは良くわからない。
ただ傍にいてほしくて堪らない
ズルい奴が純粋なものにふれ少し感化されたのか
、弱い者を守ってあげているという“強い俺”に酔っているだけなのか…
いろいろ考えたさ。でもどれもピンとこない
結局最終的に頭や心に残る思いは
傍に居たいとか護りたい、とか悲しませたくないとか誰にも渡したくないとかそんなことばかりだ。
だからな、難しく考えるのは止めたよ
今回限りはな。
これから彼女は悲しい出来事に直面する、その時一番近くにいるのは俺がいい。
そう思ったんだ
不思議なんだ、大切な宝物を見つけた気分でさ
…ってなんの答えにもなってないか、ハハハ」
「…いえ、なんだか分かるきがしますよ、シン」
「出会う運命だったと俺は思っているよ」
「ならば守り抜きましょう、あなたの大切な宝物」
「あぁ今夜伝えるよこの国に、俺の傍にいてほしいと」
「ええ。」
ーと、実はこんな微笑ましい美しいやり取りがありました
ですが…シン王よ…
貴方の、そして我らの宝物が
黒い悪魔に捕獲されています。