第11章 彼side3
俺は彼女を先に国に返し、レン王子の元を訪れた。
「何の用だ?」
「一つ、王子に確認しておきたいことがございます。王子は姫との婚姻後、我が国をどうするおつもりですか。
我が国の王子たちはあの様子、頭の良いあなたなら、彼らの治める国に期待は持っておられないでしょう」
王子は薄い唇の端を上げてふっと笑う。男でも見とれてしまいそうな高慢な表情に、これが彼女を虜にしているのか、と不思議と納得してしまう。
「自分の主をひどい言い様だな。だが、よくわかっている。今後の貿易の為にも我が国に海は必要だ。お前の国は、我が国となる。
大丈夫。
ユイカのことは、それとは関係ない。
彼女は大切にする」
「そうですか……突然の訪問失礼いたしました。では」
俺は決心した。
彼女と、彼女の大切なものを守るためにはどんなことでもしようと。
たとえ……この手を汚そうとも。