第9章 どっちつかず
「おはようございます、ユイカ様。
本日は隣国の王子たちを我が国の名所へご案内するようにと、国王からの言付けでございます。
お早いお支度を」
目を開けると無表情のリオンの顔があった。睫毛が長くて、まるで女性のように肌が透き通って綺麗……。
……って、近い!!
思わず頬が熱を持って、私はずりずりとベッドの上を後退った。
「お急ぎ下さい、というのがわかりませんか?」という冷ややかな声に背中を押され、
慌てて準備を始める。
考えないようにしても勝手に頭に浮かんでくるリオンとレンのことで、昨夜はなかなか眠れなかった。
えーっと、今日の服は……この2着のどちらかにしようかな。
「レンはやっぱりピンクが好きかな
あ、いや、何考えてるんだろ」
小さな呟きが聞こえたのかはわからないけれど、「ユイカ様にはこちらがお似合いかと。さぁ、お急ぎ下さい」と横から手が出てきてブルーを押し付けられた。
……?
怒ってる?
あぁ、準備が遅いからだよね。急がなきゃ!