第13章 傘の話し
「ただいま」
自分の部屋に戻りそういうと返事がない。
「あり、逃げたのかな?」
そういいながら部屋を探してみると、俺のベッドですやすやと女は眠っていた。
「あ。いた…」
馬鹿なのかな、無防備すぎないかい?
女は布団に入ってなくて、さっきいたままのところで倒れて寝ている感じで、着物は少しはだけているし、襲われても文句は言えないよ。
「…」
気持ちよさそうに寝ちゃってさ
さっきのように、ベッドに腰掛ける。
近くで顔を見る。…濡れてる?泣いたのかな
ホームシックか、早いなぁ
「…んー」
それにしても退屈だ
「起きてよ」
そういって女の頬をつついてみる。
「ン…」
少し声を上げ、顔を動かしたけどまだ起きない。
「ねぇ」
「ん…っ……?!あ!神威さん!!」
目をぱちぱちとして、女は目があった俺にものすごく驚いている。
「…おはよ」
ニコリと笑って言うと。俺を真正面から見ていう。
「ごめんなさい!寝てしまって!!」
「…」
殺されると思っているのか、気を使っているのかしらないけど
「ごめんなさい…」
「別にいいよ、寝るのは勝手だろ。それにここはお前のベッドだし」
「でも…」
少し眉を下げ、申し訳ないです…というように
女は静かになった。
「あ、ここは俺の部屋だし、お前の部屋だよ」
「…一緒に?」
「そう、よろしくね」
にこっと笑うと女は心配そうにしている
「は…い」
「ちなみにお前には彼女のふりをしてもらうから」
「え?!」
「俺の許嫁になろうとしてるやつがいてね?そんなのやだから」
「…そうなんですか」
「だからよろしくね」
「はい」
まぁ、拒否権はないし、いうこと聞いてもらうからね
「ん、いいこ」
女は顔を前に戻すと、不安そうな顔をしていた。
ほんと、顔に出やすいし
面白い女。これから楽しみだよ
それから名前を聞いて
少し話した。