第13章 傘の話し
「ここがあんたのベッドだよ」
その声とともに、私は柔らかなところに放り投げられました。
「ひっ…」
体制を崩さないように、と反射的に出た腕がものすごく痛みました。
ひびが入っていたなんてことは痛みが来て思い出したのだけれど。
「あはは、そうだったね」
痛みの苦しむ私に気付いたのか神威さんは笑っています。
「神威さんはとてもよく笑うんですね」
苦しみながらそういうと
「あり、なんで俺の名前知ってるの?」
と、神威さんはきょとんとしています。
「阿伏兎さんに聞いたんです」
「なるほどね」
「はい」
「笑顔は俺の殺しの作法なんだよ」
そういってにこにこと笑いました。
「ころし…?人を殺すんですか?」
「殺すよ」
「…」
そうなんですね
「何?怖い?」
「……はい」
「あはは、素直だね」
楽しそうにそういうと、私が座っているベッドにゆっくりと腰かけました。
「血。戦いの血を見ると、どうしても体が反応しちゃうんだよ」
「…」
「そーゆーいきものなの。俺は」
「そうなんですか」
「そう」
指と指を組んで、神威さんは少し下を向きました。
本当は殺したくないのでしょうか?
「大変ですね」
そういうと神威さんはなぜか私を見つめています。
変なこといいましたかね?
「ど、どうしました?」
「…いや、別に」
「そうですか?」
「うん。」
何だか変な気持ちです。神威さんはいつも笑っているけど、今は開眼していて綺麗な青い瞳が見えました。
「…わぁ」
「何」
その青い瞳に吸い込まれそうになって思わず声が出ました。
そんな気持ち悪い私に神威さんはじとっとした目で見ています。
「あっ、や!…すみません!」
「…何に感動したの今。」
じとーっと、焦る私に顔を近づけてくる神威さん。
「ちっ近いです!!」
「そう…?」
「はい!」
きっと顔は真っ赤だろう。こんなことされたことないから、
私はドキドキしています。
「…ふふっ。面白い反応だね。」
そういってにこっと笑い、神威さんは立ち上がりました。
「…」
「…少し上に話があるから、行ってくるね。」
「…はい」
パタン。扉が閉まると静かすぎる部屋に
今までの不安がこみ上げてきました。
万事屋のみなさん、久野瀬さん…
みんなに会いたいです。