第12章 おいてきた傘
「さて、本題に入ろうか」
にこにことオレンジ色の髪の男の人は笑います。
「……」
「アンタ、俺と一緒に来てくれる?」
「……え?」
「まぁ、拒否したら死ぬけど、どうする?」
「何をいきなり…」
死ぬってどういうことですか?
怖いです
「いまどこに住んでるの?家族は?ひとり?」
いっぺんに話されて、頭が混乱しそうです
「今は神楽ちゃんのところに住ませてもらっています、家族とはあまり逢えません、一人は入院しています…」
「へぇ、だったらいいね、一緒にきなよ」
何がいいのでしょう、そう言うと彼は歩き出そうとしました。
「いや…あの!」
「何?」
足を止めて振り返ってくれたけど、
これはもしかしてナンパというやつでしょうか、
今にも連れ去られそうです。
「あ、そういえば神楽ちゃんのことなんで知ってるんですか」
ずっと気になっていたことでした。
「それは、」
「団長見つけたぜ、っておい。もうみつけてやがったか、さすがだなぁ」
男の人の声を遮り大きな男の人が現れました。
強そうです。
「阿伏兎、もう帰ろうよ。見つかったことだし」
「そうだな、さっき団長の妹さんたちにあったぜ。多分その女と知り合いだな。今そいつを探しに病院の方へ向かったぜ」
「へぇ、やっぱりあいつ、心当たりがあったんだね…まぁいいや、もう見つかったことだし」
二人でどんどん話を進めていますが、私は帰らなくてはなりません。
「私、神楽ちゃんたちのところに帰りたいです。すみませんでした。」
そう行ってその場から立ち去ろうとすると、
右腕にものすごい圧迫感が走りました。