第6章 傘に隠れて見えぬもの
「団長、まだ見つからねぇのか?」
どれくらい探したんだろ、阿伏兎がこんなことを聞いてくるのは珍しいし、結構歩いたのかな
「うん、手がかりなんてないからね」
「ほんとにみつかんのか?」
「…うーん」
なんだろう、見つかる気がするなんて思ってたのにな
そう簡単にはいかないか
「少し、休憩しねぇか」
「そうだね」
今日も雨でみんな傘を指しているから
覗きこまなきゃ顔なんて見えないし
昨日の女は傘をささずに歩いていたから目立っていただけで、今日も、なんて傘をさしてないやつを探してみたけれど、まぁいないよね
それに、傘をさすのは忘れていたとか言っていた気がするし、きっと今日いたとしても、傘をさしているだろう
「はぁ、見つからないね」
めんどくさい、どんな女かも知らない、俺の地位だけによりついてきたような女と許嫁になるなんていやだから、早く見つけたいんだけど。
雨がやんでくれれば、少しは見つけやすくなるのにね