第5章 ~君と~
梨緒「なんか、悲しいですよね。
みんなは外に出れるのに、私だけこの狭い家の中しか移動スペースがないなんて……」
翔「……………………………………」
俺は何も言えなかった。
だって、外に出られないことがどんなに苦しいかわからないから。
昔から、当たり前のように、外に出て誰かと遊んで、そのうち学校に行くようになって。
でも、そんな梨緒ちゃんを俺は助けたいって思った。
だって、外はすごく景色が良くて。
いろんな音が聴こえて。
空気があって。
緑があって。
どうしても、見せてあげたいって思う。
そこで弾く梨緒ちゃんのピアノは、格別なんだろうなって思ったから。
俺はそれを聴きたいなって………