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文芸部×チア部

第7章 好きだから(R18)


逢坂くんはペットボトルの水とスポーツドリンクを持ってきてくれた。

私は一応キャップが開いた形跡がないか確認してから飲んだ。

「あの…具合悪いなら明日の応援休んだほうがいいんじゃない?」

彼が言いにくそうに私に言う。

「ううん。明日は演舞ないから大丈夫だよ」

私は彼の顔を見てニコッと笑う。

「そう…」

彼が少し残念そうに言う。

ん…? もしかして?

「もしかして…それが目的だったの? サッカー部の応援に行かせないために…?」

私はもう一度彼の顔を見る。

「うん…。ごめん…」

彼がすまなそうに謝る。

「はぁ…」

私はため息をつく。

「逢坂くんって案外バカなんだね」

「……」

彼はうつむく。

「ずっと手紙でしか知らなかったから、こんな人だとは思わなかった。いろいろ」

「……」

「でも今のほうがいいよ」

私の言葉に彼が顔を上げる。

私は彼の顔を見てちょっと微笑む。

「ちょっと変でも、ちょっとバカでも…こんなふうに話したり、さわったりできるほうがいい。
わたしもっと逢坂くんのことが知りたい」

私は彼の手を握る。

彼もきゅっと握り返す。

…うれしい。

「あ…あの…さっき言っていたことは覚えてる? その…最中に。あれって本当…?」

彼が少し頬を赤くして私に尋ねる。

「言っていたこと…? 好き?」

「ん…それもだけど…」

「大好き?」

「えっとね…。紘夢のものになりたいって…」

「えっ、わたし紘夢とか言った?」

「んー…言ってないけど…。言って。もう一度」

私は握った手を、自分の胸に持ってくる。

そして彼の目を見つめて言う。

「紘夢のものになりたい…」

「うれしい…」

彼が私をぎゅっと抱きしめる。

「大好きだよ。ナコ…」

うれしい。わたしもすごくうれしい…。

私もぎゅっと彼の背中を抱きしめた。

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