第2章 Where am I?
私はさらにある写真に目が止まる。
「えっ……? 何この写真……」
私の制服姿の写真…。普通に道歩いてる…。
「これ? ナコちゃんが登校してるとこだね。今年の春頃かな?」
彼が少し考える。
「いや、そうじゃなくて…。なんでこんな写真が?」
「それは僕がずっと君を見守っていたからだよ」
彼が優しく微笑む。
よく見ると、ありとあらゆる場面の私の写真があった。
図書館で一人でいるとこ、部活でジャージでランニングしてるとこ、放課後に商店街で寄り道してるとこも…。
隠し撮り…だ…。
…こわい。
「ナコちゃんのこと、ずっと影から見守っていたけれど…。
今はもう堂々と君を守れるんだ。
こんなに嬉しいことはないよ。
しかも、この部屋に…やっと…。
やっと来てくれたんだね。本物が」
彼がうっとりと話す。
やばい…よね? この人…。
やっぱり友達の言うことを聞いておけばよかったのかな。
やっぱり男を見る目がないのかな。
わたしが好きになる人は、わたしが決めるなんて言ったけど。
やっぱり私は1人じゃ何も出来ないってことかな。
…ていうか。
ここから逃げ出さないと…。
ガシッ
「え……」
彼が私の手首をつかんだ。
どうしよう、逃げないと。
でも足が震えて…足が…動かない。
逃げないと…。
「ナコちゃん、なんだか顔色が悪いよ。とりあえず座ろうか」
彼が私の顔を覗いて優しく言う。
え…いや…あの…えっと…。
声も出ない…。
「おいで」
彼が私の手を引っ張る。
や…やだ…。
私はその場で立ちすくむ。
どうしたら…わたし…。
わたしはどこにいるの?