第1章 起
私は人と話すことが苦手だ。できればずっと黙っていていたい。
黙っているうちに事の全てが終わっていたら それでいい。
自分が発した言葉でからかわれたり
強く否定されたり、陰で悪口を言われたくないからだ。
姉の学校の様子は私にもわかっている。
私は視力が両眼2.0だから黒板の字もよく見えるので忘れ物はしない。
隣に住んでいる優子ちゃんが朝、姉を呼びに来る声で私も目を覚ます。
パジャマのような普段着でランドセルを背負う。
歯も磨かず、顔も洗わないが、
クラスの子とは会話の輪に入ってるだけで
何も話したりしないから皆、
自分が不潔だということに気づいてないらしい。