第4章 番外編ーよくある事ってこれですか?
「ねえ、この場合、どっちの家に帰るべき?」
「いいんじゃないっスか?椿っちの家で。24時間経てば、元に戻るんスから」
「そうだな、第一、黄瀬の家なんて知らないし」
「あれ?知りたいんスか?」
「別にいい」
「いつでも速答っスよね~」
黄瀬はがっくりと肩を落とす。なんか、自分が表情豊かだと気持ち悪いな…仕方ないから俺の家に2人で帰ることに。
「ただいまあ」
「おじゃましまーす」
「ん?お帰りなさい~」
母さんが帰ってきた俺達を迎える。
「あら、黄瀬君じゃないっいらっしゃい♪」
「どうもっス」
「え?なんで、椿が言うのよ?しかも口調が黄瀬君みたいよ?」
「あ、え、椿っち、俺といつも一緒にいるか…いるっスから移っちゃったんス…よ」
「あらあら、ラブラブじゃない、母さん嬉しいわあ」
苦し紛れの言い訳を母さんに叩きつけ、どうにかその場を治める。はあ…大変そうだな。黄瀬を先に部屋に行かせて、俺も後に続く。
「わあ…椿っちの部屋、綺麗っスね」
「あんまり、余計なもの置かないからな」
俺の部屋はベッドに勉強机、その上にノートパソコンとペン立て。本棚には小説や学校の教科書、参考書などが入っている。床はカーペットが敷かれており、中央には小さな机とクッションが置かれている。
「とりあえず…黄瀬は俺のベッド、使え。俺は床に蒲団敷いて寝るから」
「え?」
すると黄瀬が俺の提案に不満でもあるのか聞き返してきた。
「え?ってなんだよ」
「一緒に寝ないんスか?」
「寝るかっ!!」
「えー、床寒いっスよー冬っスし」
「お前の体だから大丈夫だろ」
「なんスか!それ!俺だって人肌恋しいっスよ」
「んー…仕方ないな、今日だけだからな」
「わーい!」
黄瀬は両手を上げて万歳をする。下手したら、風呂まで一緒とか言い出さないよな…?