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女の私の憂鬱 《黄瀬涼太》

第4章 番外編ーよくある事ってこれですか?


事実は小説に奇なりーとは良く言うが…

「なんじゃこりゃぁあああっ!!!!」

俺はあまりの絶望さに体育館で絶叫した。どうしてか?…それは。

俺の体は今、逞しい体つきにがっちりとした脚、胸は無く、代わりに男のあれがある。鏡を見れば、黄色い髪に黄色い瞳、左耳にはピアス、どこからどうみでも黄瀬そのものだった。

何故こうなったかというと…今から約1時間前ー

「見て見てー!この飴!可愛いでしょ?」

「どうしたんだ?桃井?」

ある日、体育館にて桃井が手の内に収まる程の硝子瓶を持ってやってきた。その硝子瓶の中には色とりどりの飴玉が入っていた。それを大事そうに抱える姿はまるで小さな少女そのものだ。

「あのね、聞いて!昨日、雑貨屋さんで買ったの!」

「雑貨屋でこんなもん、売ってんのか?」

そこに青峰がやってきて桃井の手の中にある飴玉の入った硝子瓶を見る。胡散臭そうな目だ。

「本当にあったの!それでなんか紙がついてたから読んでみたのよ」

紙にはこう書かれていた。

"心が入れ替わる飴"
『同じ色の飴玉を二人で同時に食べるとあーら不思議、心が入れ替わっちゃった!なお、それが溶けるのは24時間後!食べる時は気をつけてね!』

「怪しすぎだろ、それ」

「そう思うなら試してみる?」

「面白そうっスね!」

そこに俺の彼氏(?)の黄瀬がやってきてしげしげと硝子瓶を見つめる。その目にはいかにも興味ありげな色が映っていた。

「いや…俺はやら」

「椿っち、食べてみるっスよ」

ムグッ

黄瀬に無理矢理、口に飴玉を入れられた。勿論、黄瀬も同時に飴玉を食べていた。口の中にはレモンの甘酸っぱい味が舌に伝わり、胃を刺激する。至って普通の飴だ。だが…

バタリ

急に意識が途切れた。何が起きたのか分からずに目が覚めたら…この姿になっていた…と言う訳だ。そして現在にいたる。

「おぉー!!椿っちと入れ替わったっス!」

「その顔でその口調はやめろ!」

「うわあ…こんな氷童ちん、やだー」

「僕もです」

桃井と黒子が俺の体を持った黄瀬を見つめる。うわあ…視線が痛そう…

「なんでっスか!?」

「…はあ…」

「それにしても…椿っちの体ってなんかいいっスねえ」

「な!変な発言すんな!!」

「この格好熱いっスよ~」

「あぁあああっ!!!やめろぉおおー!!!」
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