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女の私の憂鬱 《黄瀬涼太》

第1章 転校生は美少年?


「突然だが、転校生を紹介するでー」

朝のホームルームで大阪から転勤してきた教師が本当に突然、そんな事を言った。クラスが少しばかり、ざわつく。そんなのは構わずに窓の外の空を眺める俺…黄瀬涼太。

「入っていいぞー」

教師の声にドアが勢い良く開き、タンタンと教室の床を歩く音が響く。教壇に上がり、クラスを平然と眺める転校生。俺はチラリと転校生を見たとたん…胸の奥が少し疼くような感じがした。

「自己紹介と趣味くらい言ってくれや」

「…北海道から来た、氷童椿だ。趣味は…まあ、バスケです」

簡単だな、おいっと心の中で突っ込む。転校生は美少年と見間違うような相貌をしていた。クラスの女子がざわめく。それもそのはず…彼女は顔だけ美少年なのだから。

《椿side》

女子達が騒ぐのを見てやっぱりと思いげんなりとする。これから始まるライフもまた、騒がしいものになるのだな~と。

俺がここ、帝光中学に来た理由はたった一つ…親の都合だ。たまたま、家が近かったのもあってか、バスケで有名な帝光中学2年になる事に。

「んーじゃあ、氷童は…窓際の後ろから二番目の席やな!そこの金髪、イケメンのモデル君、黄瀬の前や」

「……はあ」

随分とバカにされてるぞ、俺の後ろの席のイケメン君よ。関西弁で喋る教師に言われるがままに席に着き、教師の今日の予定が告げられ、ホームルーム終了。

(さて…とホームルームも終わった事だし…女子に話掛けられる前に逃げるか…!)

心の中でぐっと拳を握って決断。席を静かに立った時…

「転校生君」

「あぁ?君、付けるなや!」

反射的に返事をしてからやってしまったと後悔して声を掛けてきた…さっき教師にバカにされていたイケメン君に向き直る。

「なんだ?」

「面白いっスねえ~君」

「何が?」

「さっきの鋭い突っ込み、そうそう出来ないっスよー」

「えーっと…君は…誰?イケメン君」

「俺っスか?俺は黄瀬涼太、バスケ部に所属してて、今度雑誌出すんスよー確か…日にちがー」

「わかった…もういい」

名前以外の事まで喋りそうなのでここら辺で遮っておく。

「ん?バスケ部?レギュラーなのか?てか、モデルの黄瀬涼太ってあのキセキの世代の一人じゃないか」

「お?知ってるんスか?嬉しいっスねえ」
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