第4章 見えない壁。
しばらく、抱き合っていると、
美風さんが突然、力が抜けたように崩れ落ちた。
「美風さん!?」
私は慌てて彼を支えた。
「ごめん…なんか…体が…おかしく…て…」
美風さんは苦しそうに胸を押さえて、
呼吸をあらげ始めた。
「ど、どうしよう…きゅ、救急車呼びますか!?」
私は慌てて携帯を取り出した。
「いい。…だ…いじょぶ…すぐ…収まる…。」
美風さんは私に寄りかかるように
座り込んだ。
先ほどまで普通だった
美風さんの体温が
尋常じゃないぐらい熱かった。
「でも、熱が…。」
私がそういうと、
美風さんは「大丈夫だから」を繰り返すばかりだった。
次第に苦しそうに目を閉じた。
どうしよう。
どうしよう。
私の頭の中はそればかりだった。
ふと、お昼にあった
来栖さんたちのことを思い出した。
私はすぐに来栖さんたちに電話をかけた。
夜中に掛けたのにも関わらず、
二人はすぐにスタジオまで来てくれる…
と言う事だった。
私はひとまず、
美風さんを寝かせると、
すぐに冷やしたタオルで顔を拭いた。