第14章 悩んでます。
後ろを振り向くと
そこには帽子を深く被った
相葉さんがいた。
やっぱり、この笑顔に救われる。
『なんで…ここが?』
「才能?」
『…もう』
そう言うと相葉さんは
いつものように柔らかく笑った。
「ねぇ…雅紀くんをほっといて
何をしてたの?」
『うーん…大切な人にプレゼント』
「へぇ…俺じゃないわけ~?」
とあたしのお腹あたりを
ツンツンしてくる相葉さん。
『くすぐったい…ですって…っ…!
相葉さんですよ?
だって…会いたかったんですもん。』
そう言ってちょっと
相葉さんのシャツの袖を掴む。
「もう…参るなぁ…そういうの…」
『手…繋ぎません…か?』
相葉さんがあの日、布団の中に
差しのべた手のように、
あたしは優しくその手に触れた。
「……敗北…上等…」
その意味は分からず、
こっそりあたしと相葉さんは
店の中で恋人繋ぎをしてた。