第32章 大切な人
プルルルルー…
とりあえず、今日は
VSの撮影だった気がしてあたしは
二宮さんに電話しながらテレビ局に
無我夢中で走っていた。
〈あ!ちゃん?〉
『はぁ…はぁ…あ、あの!
相葉さんが行方不明…って?』
走っていてあまり上手く喋れず
それでも必死に走っていた。
〈え?あ…行方不明…ね…
そう!全然、見当たらなくて…
最近、体の調子悪いって言ってたし…
どっかで倒れてたり…〉
う…嘘…
そんなこと…ないよね?
もしかして…あたしのせい?
『わ、わかりました。
とりあえず、そっちに向かいます!』
そう言って電話を切った瞬間
思いっきり転んでしまった。
しかも久々に履いたサンダルで
足を挫いた。
『痛ぁ……もう、相葉さん…っ…
どこにも行かないでよ…待ってるって…』
もう、誰に見られてもいいと思った。
彼がいるなら。
こんなにケガしてても心の方が痛くて…
『…っ……相葉めぇ…っ…うぅ』
泣きながら、また歩きだした。