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るろうに剣心【東京編】

第11章 言えない言葉




言葉に詰まる私
別に大した用はない、んだけど……
でもそんなこと言ったら、何しに来たんだって言われる
実際、自分でもそう思うもん

何も言わず黙っている私に、緋村さんはとんでもないことを言った

「夜這いでござるか?」
『断じて違う!!』
「あはは。冗談でござるよ」

この人が言うと、まったくもって冗談に聞こえない
こんな童顔でも28歳
これが大人の余裕っていうやつ?
まだ18歳の私をからかうのはやめてほしい

そんな風に考えていると、切なそうな声で名前を呼ばれた
顔を上げれば、眉を下げて笑っている緋村さん

「心配かけたでござるな」

そういって笑う緋村さんの瞳の奥に何かが見え隠れしているような気がした
こういう風な顔の時、彼はいつも何かを隠しているから
だから聞かずにはいられなかった

『どうか、なされたんですか?』

彼は、言いずらそうにしていたけれど
ちゃんと話してくれた
御頭―――四乃森蒼紫が従えていた御庭番衆の4人が、観柳によって殺されたこと
そして蒼紫は、次に緋村さんを標的にしたこと
全て事細かく話してくれた

聞きあわった後、私は何も言えなくなった
また彼は、痛みを背負おうとしている

沈黙が私たちを包み込んだ
聞こえるのは鳥の鳴き声と風の音だけ

「傷の方は大丈夫でござるか?」

沈黙を破ったのは緋村さん
その目線は、私の傷に向いていた

「すまないでござる。守れなくて」
『き、気にしないでください!これは自分の不注意というか……。それより、ご自分の方を――――』

最後は言葉にならなかった
私は、緋村さんに抱きしめられていた
急速に早くなる胸の鼓動
緋村さんに聞こえているかもしれない
恥ずかしくて、彼の胸を押した
しかし、びくともしない

『ひ、緋村……さん』
「もう二度とこんなヘマはしない。次は必ず守って見せるでござる」

身体を離され、、真っ直ぐ見つめられる
その瞳の強さに、私はうなづくことしかできなかった


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