第11章 言えない言葉
早朝、私と薫さんは4人の帰りを待っていた
それと同時に、お風呂や朝食の準備もする
朝食は、薫さんがどうしてもというので、ご飯は彼女に任せ
私はお風呂を焚く
朝食ができた頃には、薫さんの手は、傷だらけで
でも、彼女なりに頑張ったことはものすごく伝わってきた
しばらくすれば、彼らは帰ってきた
傷だらけの姿で
それでも彼らは帰ってきた
恵さんも、少し申し訳なさそうな顔をしていたが、無事でよかった
「ま、何はともあれ御苦労様!ちゃんと、朝食もお風呂も用意してあるから、さあ、召し上がれ!」
両手いっぱい元気いっぱいで出迎える薫さんだったが
佐之助さんと弥彦君はそれを無視し“寝る”という選択肢を選んだ
「あ、拙者は先にいただくでござるよ」
薫さんの気持ちを考慮した緋村さん
そして恵さんもまた、朝食を食べると、気まずそうに眼をそらしながら言った
少しだけ、彼女の中でも何かが変わってきているのかもしれない
一度は裏切られたけれど、また信じあえる人に出会えたことが、恵さんにとってどれだけの支えになるだろうか