第13章 Stay, My Darlin'!!(影山飛雄)※
下から見上げる影山はすごく可愛かった。
なんだろう、新たな扉を開いちゃったかな。彼も、私も。
私は最後に彼の右足の親指にちゅ、とキスをした。それさえもくすぐったいのか、ひくりと足が動く。
「あー、口の中の水分全部もってかれちゃった」
私はひと通り満足して、持参してきたジュースを飲んだ。振り返ると、影山が熱っぽい目でこっちを見ていた。これで終わりですか?そんな目をしている。
「影山、まだ満足してない?」
「するわけないじゃないですか」
「そっか」
私は彼の隣に腰掛けた。
「私、別にアブノーマルな趣味はないんだけどさ、」
彼の耳に唇を寄せて、その形を舌でなぞって囁いた。「飛雄はどうやらMの素質があるみたいだね」
「んなこと、ないっす」
影山はむっとしたように答えた。そんな火照った顔で言われても説得力がない。
「どうだかねー」
私は彼の股間を隠している枕を右手で思い切り押し潰した。枕の感触しか伝わってこなかったが、「うあ”っ」と影山の身体が折り曲がった。うーん、もっと苛めたくなっちゃったかも。
そういえば、影山のご両親は明日まで帰らないと言っていたな、と思い出して、「それじゃあこうしよっか」と切り出した。
「影山が朝までやらしいこと何もしなかったら、いいコトしてあげるよ」
いいコト、という言葉に影山は反応して顔を輝かせた。直後に、条件を思い出してさっと顔が曇る。「頑張ります」と呟いた。
「うん、頑張って」
私は他人ごとのように言った。いいコトが何か聞かないのは、影山の大きなミスだな。「あ、ちなみに私を襲うのはもちろん禁止だけど、キスも禁止ね。自分で抜くのも禁止」
「え、」影山の瞳に絶望が広がった。「それは無理」
その顔を見てゾクゾクする。あぁ、私ったらもうこの子にすっかり夢中になってしまったみたいだ。
END