第46章 2万5000分の1のキミへ(月島蛍)
あとがき
自分の目に映る世界は、隣の人が見ている世界と同じだと思いますか?
例えば、りんごは赤だと誰もが言いますが、果たして私が思い浮かべる赤とあなたの赤は同じなのでしょうか。
そんな話を高校生の頃に聞いたとき、それがどうした、と私は思っていました。私の世界が他人の世界と違っていても、私にはなんの不利益も生じないじゃないか、と。
というわけで(?)今回のお話は、共感覚をテーマにしたお話を書きました。
この共感覚というものを、生まれつきもっている人が結構いるらしいんです。
あなたはこの文章がカラフルに見えますか?
音に匂いを感じますか?日付を空間的に処理できますか?
私は高校生の頃、楽器を練習していたら、友達に「オレンジ色のほんわかした音を出そうよ」と言われたことがありました。
その子は「あの先輩は、楽器の先からキラキラしたものが出てるみたい」なんてことをしょっちゅう言っていて、当時の私は「なにわけわかんないこと言ってんだよ!」と変人扱いしてました。
そんな彼女が、去年あたりになっていきなり「ねえねえ!普通の人って、音に色ついて見えないの!?」と言い出して、初めて共感覚の子なのだと判明しました。
共感覚をもっている人は、生まれたときからそれを持っていて、基本死ぬまでなくならないそうです。
音に色がついて見えるなんて、私には一生経験できないことです。その子の目には、どんなふうに世界が見えてるんだろうと、最近よく考えています。
それから、その子に悪いことしたなあ、と反省しています。当時の私は、彼女のことを「想像力の豊かな変な子」だと決めつけて、ろくに話を聞こうともしませんでした。
私と、私の隣にいる人は、同じ景色を見ていても感じている世界はもしかしたら違うのかもしれません。
もしこれから先の人生で、違う世界を見ている人に出会ったら、このお話の月島くんのように共感できなくても理解をしようと寄り添ってあげたいな。
そう思いながら、このお話を書きました。
あとがきで自分の話をするなんて、すごくみっともないかもと思ったのですが、みっともなくてもいいかと思ったので書いてみました(笑)締まりがなくてすみません!
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
だま