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【ハイキュー!!】青春直下の恋模様【短編集】

第34章 時は過ぎゆきて(菅原孝支)前編


少し昔話をしても良いだろうか。キミが今片手間に俺の話を聞いていられるほど暇じゃないことは十分承知しているし、こんな素敵な日には過去ではなく未来について語り合うべきだ、なんて言いたい気持ちもわかる。でも急に話したくなったんだ。冷たいこと言わずに聞いておくれよ。

昔、とは言ってもほんの6年ほど前ーーーそう、俺がまだ恋よりバレーに夢中な爽やかクンであり、彼女がまだうら若き黒髪の乙女であった高校3年生の秋ーーーえ?今?もちろん今もじゅーぶん綺麗に決まってるべ!特に今日なんか見てよ、ほら!宇宙イチのべっぴんさん!
やっべ、うっかりノロケちゃったじゃん!しかも話脱線したし。はいはい修正!軌道修正します!


………えー、とにかく!これから話すことは俺の青春時代の大切な思い出のお話ってわけ!

思い出ってゆーのはさ、なんっつーか、こう、月日が経つにつれて美しく”補正”がかかっていくもんなんだよな。誰かに話す度に段々大袈裟になってくんだよ。あれ?この前よりも話盛ってね?みたいな。だから、ともするとキミも聞いているうちに照れ臭くなっちゃうかもしんないけど、そこをぐっと耐えて、どうか俺の気が済むまで喋らせてもらえないだろうか。っつーか喋らせてくれるよな?聞いてくれるよな?な?




とゆーことで、だ!当時、部活も受験も全力を尽くすと半ば開き直りに似た決意を固めた俺は、皆さんご存知の通り少々お茶目な男の子でした、っていうトコから始めようかな。

いつも何かしら悩みを抱えている某エースくんをからかってみたり、あるいは某主将くんに怒られた後輩達にわざと寒いギャグを飛ばしてみたり。とにかく俺は3年の中では一番ふざけるタイプの人間だったんだけど、それでもいつも自分で自分を『常識』という名の檻の中に閉じ込めていたんだ。ここまでだったら許されるな、という線引きを勝手にして、その中でだけ羽目を外してはしゃぎ回る。

そんな内弁慶にも近い俺だったから、文化祭の前日祭で行われる烏野名物『男装女装コンテスト』なんていうふざけたイベントへの出場を勝手に決められた時はもちろん速攻で断った!そんでかなり怒った!だって女装だぞ?俺がオモチャにしていたのは身近な男友達であって、自分自身を楽しみの素材として提供するなんて行為は、当時の俺からしたら常識の檻の思いきり外側のことだったんだ。














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