第23章 野うさぎたちは目を開けて眠る(東峰旭)※
「……………怖いよな?
俺も怖い。自分のことを抑えられなくなって、なまえのことを滅茶苦茶に壊しちゃいそうで怖い。こんな身長差だから、なまえの身体に負担がかかるんじゃないかってすごく怖い。だから、俺に余裕が持てるようになるまでは、そういうことは我慢するべきだと思ってる」
果たしてそんな日が来るのかどうか怪しいが、とにかく、今日がその日じゃないことは確かだった。
「なまえの友達には、愛されてる証拠だって言っといてよ。俺も、手を出さないなんて臆病って笑われたりするかもしれないけど、気にしないから」
「…………わかった」
「あと、胸が小さいことも俺は気にしない。俺が好きなのはなまえであってなまえの胸じゃない」
「…………」
「なまえは俺のアソコの大きさとか気にする?」
「……しない」
「だろ?それとおんなじ」
「…………わかった」
なまえがやっと振り向いてくれた。目を合わせて「なんで旭くんはそんな優しい人なの?全部夢じゃないかって思えて怖い」と言った。
「俺も、幸せすぎて怖い」
電気が消えててよかった、と思った。そうじゃなきゃ、お互い照れて無言になってしまうところだ。
彼女に軽くキスをした。それから、優しく、優しく抱き締める。
ねぇ、俺の彼女のことを聞いておくれよ。
こんな素敵な良い子が彼女で、俺はなんて幸せ者なんだろうか。
おやすみ、と言えば同じ言葉が返ってくる。それは身体を重ねるよりも、よっぽど意味のあることなんじゃないかと思えた。
END