第12章 戻ってきたもん。
まもなくこの動物園の名物コーナーは
閉鎖された。
私は少し活気を取り戻した動物園の
受付をやっている。
従業員、飼育委員も雇って、
動物も増やして
なんとか動物園として成り立ってきた。
「ねーねー、おねーちゃん、このあと暇?
俺らと遊ぼうよ」
また来た。動物園でナンパとかないわ。
「迷惑なんでやめてもらえますか?」
「またまた~。ねぇいいじゃん。
映画とかでもいいから」
「すいません、仕事中なんで…」
「じゃあ仕事終わった頃また話しかけるよ」
「あの…「お客様、申し訳ありません」
「?!」
私は後ろから腕を引かれた。
そこに立っていたのは拓斗さんだった。
「たくっ…え、園長!」
「申し訳ございませんお客様。当園では
従業員へのナンパ、他人に迷惑になる行動を
禁止しております。ナンパなら他所で
お願いできますか?」
「は?意味わかんないんすけど笑」
「率直に申し上げます。……
俺の彼女に手ぇだしてんじゃねーぞ」
ナンパ男達の背筋が凍り付くのを見た。
拓斗さんの迫力がなんともいえない。
恐ろしさが溢れていた。
もちろんナンパ男達はすぐに消えた。
「ありがとう、拓斗さん」
「お前なんでこう毎日毎日ナンパされんだよ」
「知らないよ、私だって迷惑だし」
「ったく、お前は明日から表に顔を出さねぇ
裏方の方がいいな」
「えっやだよっ!子供の嬉しそうな笑顔とか
見られなくなっちゃう……」
「しゃーないだろ、他の従業員とかにも
迷惑かかってんだから」
「…わかった…」
「じゃあ戻るぞ」
「はぁい」
私は受付の仕事を他の人に任せて
拓斗さんと事務室に戻る。