第2章 動物園
人影もない。
動物の声もない。
人の声も聞こえない。
動物園って子供連れとかカップルとか
人がたくさんいて賑わっているイメージだった。
「ここ、本当に動物園?」
「?!」
「って思ってんだろ?」
「そ、そんなことっ」
「いや、思わない方がおかしいよ。」
「……」
「ここは街からだいぶ外れているし
これという話題になる動物もいない」
「……」
「なぜそんなところの園長をやってるのか
聞きたい様子だな」
「?!なんで…」
「わかるよ。
ここは元々俺の親父が園長をやっていたんだ。
最初からこんなに閑古鳥が鳴いていた訳じゃない。
俺が子供の頃ははそりゃ、繁盛してたさ。
けど、どんどんこの町を離れていく人々が増えた。
さらに回りに新しい動物園はもちろん
テーマパーク、水族館、アウトレットモール、
と、まぁ人々がそっちを好んで
この動物園は忘れられてしまい、親父もそのまま
亡くなって俺が後を継いだわけ。」
どおりで街から外れているわけだ。
「それじゃ、仕事を説明するから
動物園に入ろうか」
「はいっ!」
この動物園を繁盛させるため
私が働くんだ!!
そう。。。
話題づくりのため……
どんな仕事かも知らずに私は
ワクワクしながら動物園内に入った。