第29章 紫原VS黒子
紫原
「正直ビックリしたよ。まさか、初失点が黒ちんとはねー」
黒子
「そうですか…じゃあ、以後気をつけてください」
桃井
「すごい…あれが大ちゃんの特訓の成果…!?」
青峰
「…ちげーよ」
桃井
「え?」
青峰
「俺はただ、教科書通りの型をやめさせただけさ」
そう語る青峰は黒子とやったシュートの特訓のことを思い出していた
黒子
「あ」
青峰
「ホンットに入んねーなーまったく…フォームは悪くねーけど距離感が全然だめだ」
黒子
「……青峰くんはどうやってシュートしてるんですか?」
青峰
「どうって…」
黒子から投げ渡されたボールを青峰はテキトーに片手で放ってシュートを決めた。青峰は「こうだよ」と実演したのだが、黒子には全く分からず「こうと言われましても…もう少し具体的にお願いします」と言われていた
青峰
「つってもなぁ…距離感なんて要は指先のカンだからなー、もうゴールにパスするつもりで放った方が入んじゃねーの?」
黒子
「シュートとパスは全然違います。僕の場合パスは手の平で押すカンジで…」
その事を聞いた青峰は何かピンと来たのか少し考えるような素振りを見せ、「テツ…もっかい撃ってみろ」と彼にボールを渡した
「え?」と疑問の声をあげた黒子に彼は「そんで自分の撃ちやすいように、手の平で押すように放つんだ」と付け足した
それに対し黒子は「それだと型がかなり…」と型を気にしていたが、彼は「型なんてカンケーねぇだろ。シュートなんざはいりゃいいんだよ!」と言った
その話を聞く桃井に青峰はそんな彼の試合を見ながらまた説明を始めた
青峰
「テツのスタイルの副作用ってのはつまり、手の平ではじいてボールの軌道を変える特殊なパスを極めたゆえにしみついてしまった、無意識にシュート時も手の平を使ってしまう癖だ
手首のスナップと指先の感覚で撃つ通常の型にそれは悪癖でしかない。だから俺は型を変えさせたにすぎねぇ
そこから自分にあった型を作り上げ必殺技にまで昇格させたのはあくまでテツ自身だ」
桃井
「じゃあ幻影シュートのボールが消える秘密は?」
青峰
「しれはたぶんあのフォームを第2Qまで使えなかったところにあるはず…っとムダ話は終わりだ。浮かれんのはまだ早いぜ」