第11章 # 8 My Fair Lady
「えっ?もうあれを使うってこと?」
「ハイヴは完全に想定外だった。計画を前倒しした方がいい」
「そっか…」
ツエルブがナインから目をそらす。
「どうした?」
「いや…あのさナイン。俺たち、もう手を引いた方がいいんじゃないかなって…」
「っ!?」
手を引く…?
何で。
「手を引く?」
「 このまま続けてたら俺たちきっと…」
「怖くなったのか?」
「えっ?」
「リサのせいか?ツエルブ、思い出せ。俺たちはどこから来た?」
2人の会話を聞いていることしか、私はできない。
ツエルブに非があるわけでも、ナインに非があるわけでもない。
もちろんリサにも。
「俺たちにはやることがあるはずだ。あの場所を忘れるつもりか?一歩間違えたらリサは爆弾で死んでた。これ以上リサを巻き込むべきじゃない」
「そうかもしれない…そうかもしれないけどさ…」
多分、リサは階段の所にいる。
それをわかって、何も言わない私は、誰よりもずるくて、悪い人間だ。
いまここで、リサと別行動をした方がいいんじゃないか。
警察に逃げ込まれたら、それこそ迷惑な話だが。
気まずい空気が3人の間を流れる。
こんなこと、滅多に無いのに。
「あのさ…」
「名前?」
「ちょっと、外行かない?」
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