第4章 # 2.5 OLD DAYS
「ナイン」
「どうした」
上体を起こし、ソファに座る。
「髪、切ろうと思うんだ。昔と同じくらいの長さに」
鎖骨あたりの髪を指で挟み、切る動作をする。
昔と同じ長さにすれば、昔と同じように戻れるんじゃないか。
「別に…」
ナインが私の髪を優しい手つきで撫でながら言葉を発した。
「ん?」
「長いままでいいんじゃないか。…俺たちとお前の関係は昔と変わってないよ」
さっきとは違う。優しいナイン。
優しく、ゆっくりと話し、髪を優しく撫でている。
「じゃあ、どうして何も」
「女なんだ。お前は」
私の言葉を遮り、ハッキリと放った言葉。
「…それを、昔とは変わったって言うんだよ」
「違う。怪我されたら、俺たちが困るんだ」
「そんなん昔からあったじゃん」
「信用してないとか、そんな事じゃない。怪我したら、俺たちはまた2人だけになる。お前が必要だから、まだ危険なことはさせられない。それだけだ」
真剣な眼差しで、ナインに見つめられる。
「ナイン…もしかして心配、してくれてるの?」
「やっとわかったか馬鹿」
「馬鹿って…!あ、ありがと…」
ポン、と頭を叩かれた。
「だから、気にすんな。俺たちはお前を信用してる。必要になってくるんだ」
「うん。わかった」