第10章 ハートの女王・ビバルディ
*ハートの城・ビバルディの部屋*
「…可愛い…!!」
部屋中にあるたくさんの人形やぬいぐるみ
可愛いものが大好きなビバルディの秘密の趣味
「可愛いであろう…?妾のお気に入りじゃ…」
とろんとした顔で、白い猫のぬいぐるみを弄っている
こうしていると、ビバルディが子供っぽく見えてしまう
アリスはくすりと笑った
不思議な国で出来た、大切な友達
首をはねたり、癇癪を起こしたり、仕事をサボったり…
だけど、可愛いハートの女王
「ビバルディ、あなたと一緒にいると楽しいわ」
そう言って、ビバルディの隣に座り彼女の肩に頭を乗せる
普通、女王に対しての行動として無礼にあたるが、彼女は違う
手を伸ばしてやんわりと抱きしめてくれた
「妾もじゃ…。お前と一緒だと楽しい…。お前は妾をイライラさせない。…ずっと傍にいておくれ…」
きゅっと、抱きしめる腕に力が入る
元の世界には戻れない
彼女と一緒にいたいのだ
「えぇ。ずっとあなたの傍にいるわ」
小瓶の中身などどうでもいい
そのうち小瓶の存在も忘れるだろう
咲き散る薔薇のように、気高く脆い彼女の傍にいたいから…
Fin