第10章 ハートの女王・ビバルディ
*ハートの城・庭*
夕暮れの薔薇園で、赤々と咲き誇る花を見ながらアリスはお茶をしていた
一緒にお茶を楽しんでいるのは、美しくも残虐な赤の女王…
「…ん?妾の顔に何かついておるのか?」
流し目で見つめられ、どくんと心臓が跳ねる
女性の魅力を最大限に引き出している彼女は、同性のアリスもドキドキしてしまう
「あなたに見とれていただけよ、ビバルディ」
正直に言うと、ビバルディは一瞬目を丸くした
こういう可愛らしいところも、アリスの前では見せてくれる
そして、ふわりと笑うのだ
「正直な子は嫌いではないぞ?嬉しいことを言ってくれる」
そう言ってころころと笑うビバルディを見ながら、アリスは一口紅茶を飲む
女同士、会話に花を咲かせる二人
お互いに一番好きな時間だった
望んで女王になったわけではないビバルディ
家族と引き離され、ずっと孤独だった彼女
そんな彼女の唯一の友達に、アリスはなりたかった
「そうだ、アリス」
「なぁに?」
大人の女性の前では、ついついアリスも甘えてしまう
「妾の部屋へおいで。また新しい子が増えたのじゃ」
"新しい子"
それは…