• テキストサイズ

〜時計仕掛けの夢〜

第8章 三月ウサギ・エリオット=マーチ



「良かったな、エリオット。オレンジ色のものは全てお前にやる。アリスが作ったんだ、味わって食え」

ブラッドは紅茶に口を付け、アリスのスコーンを少しずつ食べる

その様は、さながら一つの絵画のようだ

「ブラッド、アリス…俺のために…!二人とも、大好きだッ!!」

「ブッ!!」

「ゲホッ!!」

キラキラオーラを放つエリオット

「? どうしたんだ?大丈夫か?」

紅茶が気管に入ったり、スコーンを喉に詰まらせたり…

散々で大変なお茶会になった



*帽子屋屋敷・エリオットの部屋*


「なぁ、アリス。また作ってくれよ!」

「ええ、そのうち…ね」

二人でベッドに腰掛けながらお喋りをする

この時間がアリスは好きだった

「そっか!ありがとな、アリス!大好きだ!!」

「………ッ!!」

(エリオットは真っ直ぐストレートに感情をぶつけてくるから、反応に困るわ…)

「どうしたんだ?顔赤いぞ?」

「気のせいよ…」

「…俺、アンタが好きなんだぜ?」

さっきとは変わった声色と『好き』という響き

そして、エリオットの切なげだけど真剣な表情

「…私、は…」

「…アリス、好きだ」

そっと頬に触れられると、どくんと心臓が跳ねる

ドキドキして、恥ずかしくて、少し苦しい、だけど心地よい痛み

これは一度だけ経験したことのある気持ち
/ 112ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp