第7章 帽子屋・ブラッド=デュプレ
*帽子屋屋敷・薔薇園*
「…今日も、茶が美味い…」
真紅の薔薇が咲き乱れる、秘密の花園
そこでアリスとブラッドは深夜のお茶会を開いていた
紅茶には目がないブラッドは、心底リラックスした様子で寛いでいる
「顔が緩みっぱなしよ、ブラッド…」
「今は仕事ではない…。それに、紅茶を楽しむのに適度にリラックスしなければ紅茶に失礼じゃないか…」
(…こんなだるだるのブラッドを見るのは久しぶりね…)
帽子屋屋敷にお世話になり、その中でもブラッドとは特に仲良くなったと彼女自身思っていた
その証拠に、ブラッド以外は存在を知らない薔薇園に招待されている
ここは、姉…ビバルディとの大切な場所だからだ
この日も、ブラッドに借りていた本を彼の部屋に返しに行ったら突然お茶会に誘われた
(別に断る理由なんかないものね…。やっぱり、ここの紅茶は美味しいわ…)
鼻に抜ける芳醇な香りと、茶葉の爽やかだけど仄かに甘い味わい
お茶会のたびに変わるフレーバーをアリスは毎回楽しみにしていた
「今日の紅茶はどうかな、お嬢さん…?」
「とっても美味しいわ。本当に、このお屋敷の茶葉は格別ね」
「そうだろうとも。この私が集めた茶葉だからな…」
ブラッドはいつになく上機嫌だった
(こうしてじっくり見ると、やっぱりそっくりね…)