第3章 チェシャ猫・ボリス=エレイ
そして、どちらともなく唇を重ねるとお互いの温もりを確かめ合った
*巨大迷路・ゴール*
「つ、着いた…」
「あー、面白かった!おっさんもなかなかスリルあるやつ作るじゃん!」
あの後…
再び歩き出した2人は、壁から飛び出してくる矢を(命がけで)かわしたり、鰐のいる池にかかる朽ちかけた橋を(これも命がけで)渡ったり…
一面鏡張りの部屋が出てきたり(やたらと眩しい)、着ぐるみが襲いかかって来たり(銃をぶっ放すオマケ付きだ)、蛇が落ちてきたり(もちろん毒蛇)…
とにかく散々な目に遭いながら、ようやくゴールに辿り着いたのだった
「よう、お前さんたち。随時とかかったな。どうだった?」
あっけらかんとした態度のゴーランドに本来の目的を思い出したアリスが笑顔で近付く
「待て、アリス!」
「止めないでちょうだい、ボリス」
「アリス、目が、殺人者の目になってるぞ…」
たじろぐゴーランドにアリスは…
――ばきっ
「ぐわっ!!」
正義の鉄槌を下したのだった
(一発じゃ足りないんだけどね…)
「ヒュ〜♪さすが俺のアリス、見事な右ストレート」
ボリスがアリスの肩を抱き引き寄せる
「前より力が出なかったわ。鈍い音がしたもの」
うるさく鳴る心臓の音に気付かれないよう、話を逸らそうとするが無理だった