第3章 チェシャ猫・ボリス=エレイ
*遊園地*
賑やかな音楽、カラフルなアトラクション、楽しそうな家族連れ…
「……メルヘンだわ…」
絵に描いたようなメルヘンの世界…遊園地
ハートの城、帽子屋屋敷と領土争いをしている第三の勢力
「そう言うなって、ここはそういう場所なんだ。楽しい場所だからな!」
そう言うのは、遊園地のオーナー
黄色いジャケットに眼鏡、三つ編みを1本結った男性、…メリー=ゴーランド
嘘みたいな名前だが本名で、フルネームで呼ばれたくないため、ゴーランドと呼ばせている
「そうね。遊園地ってそういう場所だったわね…」
この場所に似合わない大きな溜め息を吐いたアリスは、近くのベンチに腰掛ける
「ん?どうした、アリス?疲れた顔をしているな。…よし!景気付けに一曲弾いてやろう!!」
「……なんですって…!?」
彼女の顔がさっと青ざめる
「今日は特別に俺様の歌付きだ!遠慮はいらないからな!!」
「状態じゃないわ!!大丈夫、大丈夫だから!!」
「遠慮すんなって〜!!いくぞ〜!!」
アリスの制止を聞かず、ゴーランドがどこからともなく取り出したバイオリンを構える
「………ッ!!」
「たららったったった〜♪たららら〜♪」
下手な歌(最早歌と呼べるかわからない)に併せて響く不協和音(殺戮兵器並みの破壊力)
耳を塞いだにも関わらず、頭に響いて凄まじく痛い