第10章 月のない夜
「今、変なこと考えましたか?」
「いえ。ナンデモナイデス」
「よし、じゃあ黒子と有栖チームがトップで」
征十郎の悪魔の囁きが聞こえたところで、黒子は懐中電灯を持ちながら「ほら行きますよ、愚図」と急かしてきた。行けばいいんでしょ行けば……。仕方なく、黒子の後を追うのだった。
「ねぇ、黒子……」
「……」
「ねぇってば……ねぇ」
「……」
「ねえっ!!」
怖すぎて思わず彼の腕を強く掴んだ。黒子は一瞬びくっとするが「なんですか」と振り返った。
「ねぇ、聞いてるの? ここ……どこなの」
「さあ? 残念ながら、迷いました」
「うっ嘘でしょ……?」
泣きそう。黒子は携帯を取り出すが溜息を吐いて、携帯を閉じてしまった。
「どうやら圏外で携帯が使えそうにありませんね」
「冗談はやめてよ……」
「冗談ならいいんですけどね」
本当だったらと考えると、絶望しかない。私達は動き回るのは危ないと判断し、征十郎が気付いてくれるのを待つこととなった。たぶん彼のことだし、頭はいい。なんとかしてくれることを願うしかない。