第7章 影は静かに見え隠れ
「君みたいな馬鹿な人、僕の観察力をもってすればある程度の行動を予測することも、出来るんですよ」
「嘘ばっかり……」
自慢げに話す彼は、悪戯っぽく微笑んで、それから大きく息を吐いた。
「途中で紫原君に会って、それで君を探していたんです。もしかしたら、今頃赤司君達も一緒になって探しているかもしれません」
「それは……! 随分心配かけちゃったみたいで」
「ほんとですよっ!!」
「うっ……」
凄い剣幕で、黒子は眉間に皺を寄せ私の両肩を強く、強く掴んだ。黒子の初めて見る、焦ったような安堵したような、複雑そうな表情を目の前に、私は小さく縮こまった。
「どれだけ心配したと思っているんですか!! どの出店にもいないし、かといって待ち合わせの場所にもいない。本当に……本当に君はどれだけ馬鹿なんですかっ!!」
「ごめ……んなさいっ」
「ああ……もうっ」
ふわりと身を包む、優しい香り。熱くて、けれど心地よくて。
黒子がぎゅっと私を抱きしめる。