第10章 大好きだよ
「お母さんやお父さんやアリシア、それに友達。私の大切な人が皆死んじゃって、私だけが生きてるってこと。自分だけ逃げても、1人じゃ生きていけないもの、私。」
「やっぱり逃げるっていうのは卑怯な事なんだね。」
アリシアは言った。
「そうじゃないの。私が戦うとすれば、結局は自分のためよ。自分が一人ぼっちになるのが怖いから、戦うんだと思うの。でも、それは私の生き方。逃げる事もその人の生き方。どっちが正しいとか間違ってるとか、誰にも決められない事なのよ。戦えばそのために、人が死ぬわ。でも戦わなくても死んでゆく、正しいことなんてどこにもない。自分に出来ることをするしかないんだわ。……って、関係ないこと喋っちゃったな、ごめんごめん。」
クリスは笑った。
「うん、ありがとうクリス。」
アリシアは走り出した。
「あっ、ねえ!バーニィに会ったらよろしく伝えて!」
しかしアリシアはもうすでにいなくなっていた。