過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第83章 諦めない
狙撃犯の雇い主はメレンドルフ卿とベッカー商会という
何とも捻りのない結果で、その日以来エルヴィンは両者に関する
ほんの些細な情報も集め、復讐する機会を窺っていた。
両者は前日の夜会で恥を掻かされた事に激怒し、
エルヴィン本人を消しに来るという暴挙に出たようだが、
急いで暗殺者を雇ったせいか犯人の質は悪く、
口は羽のように軽かった。
これが本当にプロフェッショナルな暗殺者だったなら、
殺されても依頼主の名前は言わなかっただろう。
王都での会議でエルヴィンが襲撃された事も議題に上がったが、
その襲撃者のお陰で調査兵団の排斥を訴える一味に
打撃を与えることに成功したので、暫くは排斥活動も静まるだろう。
下らない会議を終え、調査兵団本部に戻るとエルヴィンは
寝食を忘れて仕事に没頭した。
部下達が心配するほどやつれたエルヴィンに
リヴァイ達も声を掛けたが、エルヴィンは全く耳を貸さなかった。
これは自分への罰だと言って。