過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第80章 すれ違い
・・・いつからナナシと噛み合わなくなってしまったのだろうか?
壁外調査前に出掛けた時は心からの笑顔を見せてくれた。
ダンスの練習の時も何だかんだで楽しそうに踊っていた。
『心臓』の手掛かりを掴んで夜会に行った時も、
落胆はしていたがそこまでおかしくはなかった。
・・・・その後だ。
休みが欲しいと言って一人で出掛けて行ったあの日から
全ては狂ってしまった。
何があったのか未だにわからないが、
態度を変えなければならないような出来事が絶対あったはずなのだ。
もしもあの日に戻れるなら調査兵団の総力を上げて
ナナシを尾行していたか、彼に休みを与えなかっただろう。
悔やんでも悔やみきれない過去を思い、
エルヴィンは明日もう一度ちゃんと話をしてみようと心に決めた。
このままではいけない・・・。
ナナシの本心を聞かなければ、自分も仲間も納得出来ないだろう。
じっくり腹を据えて話すには会議後、
部屋に呼び出す必要があるなと考えながら、
薄暗い暗い廊下を歩いた。
――――だが、この選択がまたエルヴィンに後悔を与えることになるなど、
この時は誰も予想出来なかった。