過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第77章 それぞれの想い
それ以来、ナナシがエルヴィンだけでなくリヴァイやハンジ、
ミケやナナバなどの幹部組も避けるようになり、
調査兵団の兵士との接触も必要最低限しかしなくなったので
兵士達は困惑した。
団長達とナナシが喧嘩でもしたのかと最初は見守っていたが、
一向に仲直りする気配がなかったせいである。
食事も一緒に取ることが無くなり、
ナナシは自室で取っているようだった。
今まで仲良く食事を摂っていた光景が見れなくなり、
兵士達の間に不安が広がる。
「『――――なので、お願いですから早く教官と仲直りしてください団長』
というのが兵士達からの陳情だ」
「あ゛ぁ゛?」
ミケの報告にゴロツキ顔負けのメンチを切ったのは、
リヴァイではなく調査兵団団長様のエルヴィン・スミスだった。
その形相も恐ろしく、闇社会のドンと言われても
思わず納得してしまうくらいの迫力である。
ナナシと不仲になって以降、エルヴィンの機嫌は最悪中の最悪で、
ミケにまで当たる始末だった。
エルヴィンの気持ちもわからなくもないので、
ミケは当たられても不満は漏らさないが、
どうにかしなければとは考えている。
このままでは部下に示しがつかないだろう。