過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第74章 過去へ続く道
――――夜会から数日経ったある日、
ナナシがエルヴィンに一日休みを貰いたいと申し出ると、
彼は探るような目を向けてきた。
今までナナシがちゃんとした休みを貰いたがる事も無かったし、
エルヴィンとしては徒労に終わった先日の夜会の件も
心に引っ掛かっていたので、どうすべきか考え倦ねる。
「・・・休みを貰って何をするんだ?」
「気分転換に少し街をぶらついたりしたい」
やはりガセネタを掴まされた件で、
ナナシは少し落ち込んでいるのだろうか。
「わかった。1日君に休みをあげよう。ただし私も着いて・・・」
「たまには一人になって考えたいこともあるんだ」
エルヴィンが言い終える前にナナシが被せて言うと、
彼は眉間に皺を寄せペン先でコツコツと机を叩き始めた。
「・・・ナナシ、君の一人になりたいという気持ちは
わからなくもないが、君を一人にする訳には・・・」
「何故だ?ちゃんと戻ってくるぞ」
「・・・・・・・・・」