過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第73章 心臓は何処?
後日、コンラッドのいる屋敷に行く約束を取り付けたナナシが
視線を上げると、丁度エルヴィンが飲み物を持って
テラスへ入ってくる所だった。
アルフレッドは一礼すると、何食わぬ顔でエルヴィンの隣を
素通りして去って行った。
眉を顰めながらやってきたエルヴィンは、
「今の男と何かあったのか?」と嫉妬丸出しでナナシに尋ねる。
「・・・いや、ダンスをどうかと誘われたが、
私には連れがいると言ったらあっさり引き下がっていったぞ。
丁度お主が来たから、まずいと思ったのであろうな」
「・・・・・それだけなら良いんだが・・・・」
そう言いながらナナシに飲み物を渡したエルヴィンは、
心配そうにナナシの顔を見つめた。
「大分、顔色は良くなったようだが・・・体調に問題は?」
「無いから、さっさと帰ろう。もうこんな所に用はないからな」
「・・・そうだね」
弱々しく微笑むエルヴィンの方が心配になり「大丈夫か?」と尋ねると、
眉尻を下げたエルヴィンが「本当に君は優しいな」と笑った。