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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第73章 心臓は何処?










ナナシの探し求める『心臓』は、夜会の主催者が所有していて
屋敷のどこかに飾られているらしいとエルヴィンから聞かされ、
どう奪おうかと考えていた。


何処にあるかもわからないのに闇雲に探す訳にはいかない。

迷った振りをして屋敷内を徘徊するのも手かもしれないが、
それだと怪しまれるだろうか?


「・・・シ。・・・ナナシ?」


呼ばれている事に気づいて顔を上げると、
心配そうな顔で見つめてくる蒼眼とかち合った。


「大丈夫か?随分考え込んでいたようだね」


当然だ。

どうやって奪うかちゃんと考えないと、
身元が知れているエルヴィンに迷惑を掛けてしまうのだから・・・。

いくら『心臓』を取り戻す事が自分の悲願だったとしても、
これ以上エルヴィンを巻き込む訳にはいかない。


ナナシの心中を察してか、エルヴィンは穏やかな笑みを浮かべて言った。


「どうやら持ち主は自慢話が大好きらしい。
上手くいけば労せず心臓まで案内してくれるかもしれない。
一人で抱え込まず、交渉は私に任せて貰えないだろうか?」

「エルヴィン・・・・」

「だから君は深く考えず『ナナリー』として私の傍にいなさい」


普段から変態と思っていてすまない、と謝りたくなるくらい、
今日のエルヴィンは紳士的だった。




馬車が止まり目的地である屋敷に着いたようで、
エルヴィンは自然な動作でナナシをエスコートし、
会場内に入った。





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