過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第70章 心からの微笑み
「あぁ・・・、あぁ勿論だ!一緒に海へ行こう!」
エルヴィンの全身に喜びが駆け巡った。
この瞬間だけでもナナシは、亡き恋人ではなく
エルヴィンを選んだのだ。
何て綺麗な涙・・・。
何て綺麗な笑顔だろう・・・。
ナナシの心からの笑顔を初めて見たような気がする。
もっと君の笑顔が見たい。
自分の目的を忘れてしまいそうになるくらいに
君は俺を夢中にさせる。
やはり俺は君の事が好きだよ、ナナシ。
店内である事も忘れて抱き合う二人を、
他の客や店員が微笑ましそうに見ている事に気づいたのは
暫く経った後で、それに気づいたナナシは恥ずかしさの余り、
帰りの馬車では一言もエルヴィンと話そうとしなかった。