過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第70章 心からの微笑み
エルヴィンオススメのお店は小さなカフェテラスで、
軽食類しか無かったものの注文した料理は申し分ない程
美味しかった。
今は食事を終え、食後のコーヒーを飲んでいる所だった。
「オススメだけあって美味かった」
「それは良かった。美味しそうに食べている君を見ていて
それは伝わってきていたけど、それを聞けて嬉しいよ」
嬉しそうに目を細めるエルヴィンを見た後、
ナナシはグルっと店内を見回し複雑な表情をして言った。
「ローゼの民は飢えておるというのに、
シーナはそれ程影響を受けていないのか・・・?」
ナナシ達は今日シーナまで買い物に来ていた為、
ローゼとシーナの貧富の差が嫌というほど実感させられてしまった。
今食べた豚肉と野菜のサンドもローゼだったら、
御馳走の部類に入るだろう。
肉はなかなか手に入らないし、野菜も育てられる土地が少ない為
高価なものになりつつなっている。
ナナシの心中を察してか、エルヴィンは落ち着いた・・・
それでも強い意志を込めた声色で話し始めた。