過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第67章 分かり合いたい
壁外調査の決定が調査兵団全体に知らされた後、
ナナシは空き時間を利用してトレーニングを行っていた。
先日の懇親会で自分の身体や感覚がかなり鈍っている事がわかったので
鈍った身体を鍛え直す必要があると考えたのだ。
もうすぐ壁外調査がある。
いくら妖のナナシでも壁外で生き残れるとは限らないので、
きちんと身体を作っておく必要がある。
あと苦手な立体機動も練習しておこうかと脳内で
自らの訓練メニューを組み立てていると、
見知った気配が近づいてくるのに気づいてそちらへ視線をやった。
「・・・探したぞ、ナナシ」
そこには仏頂面のリヴァイがいて、
何故彼が自分を探していたのだろうかとナナシは首を傾げる。
そんなナナシの心中を察したリヴァイは溜息を吐くと
「柔剣訓練を今日からやるっつってただろうか」と呆れたように言った。
そう言えば駄々を捏ねたリヴァイとミケに先日から
訓練メニューを追加していたな~と記憶の彼方へ
追いやっていた出来事を思い出す。