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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第66章 戦う理由










「これで・・・壁外で『戦う理由』と『生き残る理由』が
出来ただろう?」

「・・・・・・・・・・」

「何としても生き残って『心臓』を取り戻しなさい」


そう言ったエルヴィンの声はとても優しいもので、
子供に言い聞かせるような声色だった。

気遣われたのだとわかったが、ナナシはわざと拗ねた風に返す。


「・・・お主が死んでしまったら、心臓の在処が
わからなくなるではないか」

「そうだね。まだ死ぬ気は無いが、壁外で『絶対』は
存在しないからね。ならば、こうしよう。私が死んでも
君に情報が得られるようにどこかにメモを残しておく。
そしてそのメモの在処は壁外に出る直前か後に君に教える。
これなら何の問題もないだろう?」


妙案だろ?と提案すると、ナナシは少し何か考えた後
「それでも構わぬが・・・」と告げた。


「だったら、やはりお主が生き残って口頭で伝達すれば
一番手っ取り早い。私は回りくどいのが苦手だ」


それを聞いたエルヴィンは言葉を失い、
ナナシをじっと見据える。

つまりナナシはエルヴィンに絶対生き残れと言ってくれているのだ。

素直じゃない言い回しだが、エルヴィンを喜ばすには充分の言葉で
・・・思わず顔が綻ぶ。

壁外で生き残る事は容易くないが、俄然やる気が出たエルヴィンは

「そうだね、君の言う通りだ」

と笑った。


今回の壁外調査でどれだけ犠牲が出るかわからない。

自分の持ち得る力で成果を上げ、犠牲を最小限に抑えねば・・・と、
エルヴィンは改めて思った。





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