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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第66章 戦う理由






ナナシにとってソロモンの心臓を探し出して奪い返す事が生き甲斐だが、
長く生き過ぎたせいか惰性に近くなっている気がして、
死に物狂いで壁外から生還しようとするかはわからなくなっている。


「だから・・・お主達の志に賛同出来るものがあれば良いなと思った。
中途半端な気持ちで壁外から生きて帰れるとは思っていないからな」


寂しそうな顔で『理由』を欲しがるナナシに、
エルヴィンは深い溜息を吐いて思案した。

ナナシの様子からして今語った事は本音だろう。
下手をすればナナシを壁外で失ってしまうかもしれないという危機感を
募らせる。

根性論を唱えるつもりはないが、意志の強さは
いついかなる時も重要なものだ。

生きようという気持ちが強ければ強い程、
危機的状況に陥っても最後まで足掻き続けるが、
生きる意思が弱ければあっという間に諦めて死んでしまう。

有能な人材をこんな所で失うわけにはいかないと判断し、
ナナシに伝えていなかった情報を伝えることにした。


「ナナシ・・・『心臓』の情報が手に入った」


それを聞いた瞬間、ナナシの眼の色が変わったのが見て取れ、
エルヴィンは少し複雑な想いを抱く。


「それは本当かっ!?」

「本当だ。ハンジのお見合いの時に得た情報だ」

「何故、すぐ教えてくれなかった?」


怒気を含む眼差しを向けてくるナナシに対し、
エルヴィンは無表情を貫く。


「裏付けを取ってから伝えても遅くないと考えたからだ」

「・・・・・・・・・・・・・そうか。それで心臓はどこにある?」

「それを教えるのは壁外調査が無事終わってからだ」


エルヴィンの言葉にナナシは眉間に皺を寄せて睨みつける。

勿体振るなと言いたげな視線にエルヴィンは微苦笑を浮かべた。



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